昔から持ってはいたんですが、今まで使う機会がありませんでした(笑
SR&D Power Soakです!
(我が敬愛する)BostonのTom Scholz氏が1980年にリリースした最初の製品であり、アッテネーターの始祖とも言われてます。
Scholz氏はBostonのデビュー当時からこのPower Soakのプロトタイプを自作で作り、それをMarshall SLPに繋いで鳴らしてたとも言われてます。
1978年にアルバムDon't Look Backをリリース後、レコード会社と揉め(アルバム制作のペースでレコード会社から圧が掛かったからとかなんとか)、その訴訟沙汰の間にSR&D(Scholz Research&Development)を立ち上げ、ギタリストやベーシスト向けの製品を開発していきます。
Power Soakはそれらの製品の第一号となります。
当時のアンプは歪ませる事を前提としてない為、昨今のアンプのようにGainとVolumeが分かれておらず、歪ませるには音量を最大まで上げなければなりませんでした。
その為当然爆音となり、環境によっては歪ませられないという問題もありました。
Power Soakはアンプとキャビネットの間に接続する事によりMaster Volumeとしての役割を果たし、レコーディングやあらゆる環境でのライブが容易となり、当時ヒットを飛ばしました。
このPower Soakのヒットにより、SR&D社は後の80年代を代表するギター用機材、Rockmanシリーズを次々と開発していきました。
仕様
昨今のアッテネーターと変わらず、写真左上のジャックにアンプのSpeaker Outからのスピーカーケーブルを挿し、左下のジャックからスピーカーケーブルでキャビネットへ接続します。
発売当時は写真のように前面にジャックが設けられ、90年にリイシューとして発売されたものは背面に移動してます。
真ん中のダイヤルでそれぞれのdB数に応じて音量を下げていきます。
昨今のは無段階で下げられるものが多いですが、このPower Soakは昔ながらのクリック式で、周囲に表示されているdBの所に止まります。
最小で-32dBまで音量を下げられ、スタジオなどでMarshall SLPなどをフルテンにしても容易くレコーディングに使用出来る音量となります(勿論日本の密集してる住宅街では無理ですwww)
写真右下にあるスライドスイッチは、出力先のキャビのインピーダンスにマッチさせられるもので、これは昨今のアッテネーターでは固定式があるのに対し、可変が出来るのは便利かなと思いました。
アッテネーターの始祖としてはアッテネートの数値も各種インターフェースも非常に実用的ですね👍✨
放熱の為か完全グリル仕様の筐体なので中身が見られるが、超シンプルに抵抗を繋げに繋げまくったという感じw
— Guitarstuff(Brown Sound/5150)@ROCKMAN (@gtrstfgitagia) 2021年10月2日
これが1980年にヒットし、2年後にリリースされるヘッドホンアンプのRockmanの開発資金になったとか。 pic.twitter.com/xJhWsHAEu3
中身はこんな感じ。
意外とシンプルです(笑
抵抗を並べ、放熱の為穴だらけの筐体で囲ってるという感じですね。
昨今のアッテネーターに比べると、抵抗自体がでかいので筐体もそれに比例して大き目です。
裏面の取説(俺が写ってすいませんw)
— Guitarstuff(Brown Sound/5150)@ROCKMAN (@gtrstfgitagia) 2021年10月2日
何ワットまで許容出来るのか調べたけど、同時発売されてたアンプしか載ってなかった。
でも、この同時発売されてたアンプのラインナップが、ある意味歴史的な資料とも言える。 pic.twitter.com/429b4281Rr
背面には、同時発売されていたメジャーなアンプの製品名が記載され、そのアンプで使う場合のインピーダンスのセッティングが丁寧に記載されてます。
恐らく当時はアッテネーターというものが存在せず、キャビネットも殆どのギタリストはマッチングで使用してた為、インピーダンスを気にする人はほぼ皆無だったのかなと思われます(Led ZeppelinのJimmy PageはHiwattのアンプにMarshallのキャビを繋ぎ、伝説のライブRoyal Albert Hallで鳴らしたという事例もありますが)
なのでアッテネーターを挟む際はインピーダンスを気にする必要が出てくるので、このように記載されてたのかなと思われます。
サウンド
出勤前にPower Soak使ってみた。
— Guitarstuff(Brown Sound/5150)@ROCKMAN (@gtrstfgitagia) 2021年10月3日
ボストン弾きたくなるサウンドに変貌するなコレw pic.twitter.com/czE857r6Bl
試しにPeavey 5150→Power Soak→Two-Rock 112 Cabと繋いで鳴らしてみました。
結果、Rockmanぽいサウンドになりました(爆
これは昨今のでも議題に上がるのですが、アッテネーターを介すと高域が削れてしまうという(音が変わる)という性質があり、昨今のはEQ付けたり、試行錯誤して原音になるべく近くなるように工夫が成されてる場合が多いのですが、ことPower Soakに至ってはそんなものは全く考えられてはおらず、兎に角フルテンにしたチューブアンプの音量を下げ、それぞれの環境下で適切な音量で歪ませたサウンドを奏でられる為に作られた感が否めません(笑
その所謂「ハイ落ち」が丁度Rockmanのフィルターのような効果を発揮し、偶然Bostonぽい音になったという感じですw
恐らくPower Soak発売時は誰も気にする事無く、寧ろ「小音量で歪ませられる画期的な名機」として重宝されてたのかなと思われます。
総評
アッテネーターはコレが初めてなので何とも言えませんが、昨今ではハイ落ち対策されてるものなど優れたものが多く、敢えてコレを選ぶ必要はあまり無いのかなと思います。
(俺みたいに)SR&Dの製品をコレクションしてたり、アッテネーターコレクター以外の方は正直他のアッテネーターの方がいいかも知れませんね(笑
当時の音に思いを馳せるとかなら一考です😉