
13年振りぐらいに増殖しました、Rockman A12-50アンプでございます↓

片方は13年前に手に入れた120V(右)、もう片方はモリダイラが正規輸入した100V(左)となってます。
ここ数年、A12-50やUltimatum系に関しては市販で2種、モックアップ含めて3種しか無かったので調査を終了してましたが、ここ最近資料を掘ってると色々出てきたのと、2台目を入手した事もあり久しぶりに記事にする事にしました。
過去記事
の時と印象も変わりましたので、その辺も書いていこうかなと思います。
シグナルチェーン
まずA12-50の内部構造なのですが、
1. Input
2. 3-band Active EQ(Pre-Distortion EQ)
3. Preamp
Gain(Comp) + Clean/Semi Clean
Gain(Comp) + Distortion
4. Send/Return(Line Out)
5. Clean(Semi Clean)/Distortion Volume
6. Headphone Out/Power Amp→Speaker(EXT. Speaker Out)
となっております。
EQはプリアンプの前にあり、CleanとDistortionそれぞれのチャンネルに同じ設定が適用されます。
アクティブEQとなっており、音の土台(Rockmanらしさ)を維持しつつ箱鳴り感や太さ、抜け、輪郭などを調整する感じです。
Bassは80〜120Hz、Middleは800〜1.2kHz、Trebleは3〜5kHzを司っているらしく、Qは大分広めに取られてる印象です。
Gainはコンプレッサーの役割で、圧縮レベルが上がると比例して入力ゲインが上がるAuto Gain Coutrol方式を採用しており、CleanとDistortionでそれぞれ独立してます。
CleanではGainを上げても歪む事は無くコンプレッションが強くなり、ピッキングのアタック音がパコパコしてきてサスティンが長くなります。
これは用途に応じて使い分ける感じで、自然なニュアンスのクリーンが欲しいなら0、カッティングなどアタック音を際立たせたい場合は好みで上げていく感じですね。
他社ペダルの乗りに関しては感覚が変わりまして、Gain 0にすればコンプが掛からないのでスピーカーのペダルとの相性も相俟って非常に良いです。
スピーカーが80's Marshallに標準搭載されてるものなので、Marshallアンプに繋いだような音になります。
Ultimatum回路の効果か、チューブアンプに載せたような音ですね。
Semi CleanはCleanにミドルレンジと軽いゲインを付加して軽く歪ませた音で、古いチューブアンプをクランクさせたような歪が得られます。
SustainorやXPRにも同じ機構がありますが、A12-50の方が生々しい音で且つRockmanがチラつくトーンです。
Sustainorのはかなり個体差があり、全然歪まない物からバリバリとした音になる物まであり、正直EDGEモードのAuto CLNの方が使い勝手が良い印象です。
XPRの方は歪量は安定しており、またMIDIコントロールで音作りは追い込めるものの、肝心の土台の音が中途半端な感じで、だったら完全クリーンとハイゲインディストーション専用に割り振った方が良いかなという感じです。
なのでSemi Cleanに関しては3つの中ではA12-50がよく出来てるという印象を受けました。
またSemi Cleanに関してはCleanとは違いGainつまみで歪量が変わるのでCleanより調整幅が広くなる印象です。
Distortionは同時新開発のUltimatum回路を採用しており、従来のRockmanクリッピングステージ(コンプ+プリアンプ+フィルター)はそのままに、パワーアンプ特有の歪やテープサチュレーションをシミュレートしたクリッピングステージを追加した、2クリッピングステージ構成となってます。
これは1年後にリリースされるペダル型RockmanであるUltimatum Distortion Generator(以下UDG)にも採用されてますが、トーンはかなり異なってます(後述)
新開発という事もあり、従来のX100やSustainor、XPRなどとは一線を画した音となっており、上記3つがラインらしい音なのに対しUltimatum系は生々しいアンプのニュアンスを再現してるという感じです。
FX Loop(Send/Return)はエフェクトやEQを挟んだり、Sendからミキサーやオーディオインターフェースに繋いでDAWやMTRやモニタースピーカーなどに出力したり、外部プリアンプなどをReturnに繋いでプリアンプはバイパスしパワーアンプとスピーカーだけ使ったり出来ます。
Sendから各種機器に出力する場合、Clean/DistortionのVolumeつまみはバイパスされ、一定のラインレベルで出力されます。
ReturnはClean ch及びDistortion chのVolと連動しており、プリアンプをReturnに挿して鳴らす場合、表で設定されているchのVolを上げないと鳴りません。
つまりプリアンプ部は調整不可能な一定のラインレベル、パワーアンプにマスターボリュームが付いてるアンプという事になります。
Headphone Outはケーブルを繋ぐとスピーカー出力がミュートされステレオで出力されます。
こちらはClean/DistortionのVolumeつまみが効くので音量調節がしやすくなりライン出力にも適応してますが、ヘッドホン用パワーアンプを通るのでSend出力と若干音が異なります。
パワーアンプは50wのソリッドステートで、内蔵スピーカーかEXT. Speaker Outから外部スピーカーへ出力されます。
EXT. Speaker Outから外部スピーカーに接続されている場合、内蔵スピーカーは無効になります。
スピーカー
A12-50のスピーカーは基本的に
Celestion G12T-75(英国製)
となります。
一部情報によると「Eminence Patriot系」が使われてると言われてます。
俺が覚えてるのは、15年前に2ちゃんねるのRockmanスレッドでモリダイラのカタログから抜粋したと思われる値段表が書かれてて、そこにA12-50のCelestionとEminenceが分けて書かれ、Celestionの方が高かった印象でした。
またGrokによるとGary Pihlがサインしたものが数点出回っており、それらがEminenceにカスタマイズされたという情報もあります。
しかしこれらの情報は錯綜してる事が多く、Grokも「後から改造された可能性が高い」とも言及してるので、基本Celestionのみと考えて良いでしょう(信頼出来るソース求む)
リバーブ付き?
Grokで得た情報ですが、これはガセの可能性が極めて高いです。
要はA12-50を購入した顧客がSR&D社にリバーブの増設を依頼したカスタム品で、それが一部出回っているという噂です。
曰くアナログの質感があるリバーブらしいのでスプリングリバーブタンクを搭載したか、或いはX100やXPRに搭載されてるBBD素子を用いた「チャンバーエコー」を搭載したかのどちらかと思われます(個人的には搭載されてたとすれば後者かなと)
しかしながら当該品にはFX Loopが付いており、そこにモジュレーションや空間系を足した方が正常に鳴るので、増設の必要性があまり感じられないなと考えてます。
サウンド
今まであまり言及してこなかったので今回はマイク録り、Sendから直接ミキサー、Headphone Outから直接ミキサー(Distortionのみ)、UDGとの比較など色々深掘りしてみました
まず全体的にA12-50のプリアンプ部分は従来のRockman製品よりフィルター(キャビシミュ)が弱く、内蔵スピーカーに周波数特性をある程度依存してる印象を受けました。
100V、120V両方で同じような印象だったので、この辺に関しては個体差は無いものと認識してます。
なのでCleanはラインだと所謂CLN2、内蔵スピーカーを通した音だとCLN1寄りの音になります。
Semi Cleanは内蔵スピーカーとの相性がとても良く、ラインだと硬さが取れなくてバリバリした歪になりがちですが、スピーカーを挟む事によってエッジが丸く削られてブルージーでイナたく、且つRockmanぽいミドルの出る味わい深いクランチ〜オーバードライブが得られます。
個人的にこのサウンドはかなり気に入っており、ぶっちゃけDistortion chよりこっちの方が好きです笑
Distortionは新開発のUltimatum Distortion回路を搭載したものではありますが、ラインだと兎に角バリバリした歪で、キャビシミュが入ってたとしてもOrange Bax BangeetarやQuilter Phantom Block的な、キャビシミュが入っているかどうか分からない位効き目が薄いものになります。
正直外部IRなどを足した方が良いですね、、、
実際内蔵スピーカーで鳴らすと化けるので、(もしお持ちであれば)やはりそのままスピーカーで鳴らすかIR経由がオススメです。
また先述の通りSend OutとHeadphone Outではトーンが若干異なり、Send Outはそのままどストレートで信号が出力されるのに対し、Headphone Outは若干高域が削られて温かみのあるサウンドになります。
Grok曰くHeadphone Outの方がノイズが乗りやすいとの事ですが、比較した感じでは大差無いです。
ノイズ
A12-50はスピーカーで出力すると凄まじいノイズが出ます😨️
ラインだと殆ど出ないので、パワーアンプ及びスピーカーでノイズ成分が乗ってますね。
しかもこれ、俺が所有してるA12-50が2台とも同じようなノイズが出ており、またYouTubeの他者のデモ動画でもノイズが出てるので、個体差では無く仕様かと思われます。
個人的にはスピーカーの音の方がラインより好きなのでノイズには目を瞑ります笑
若しくはIRローダー経由でアクティブモニターに接続すれば、ローノイズでキャビネット選び放題という事も可能です。
UDG

よくA12-50には「UDGが内蔵されている」と言われますが(昔の俺もそうでした)、結論から言うと音は全然違います。
UDGはぶっちゃけペダル単体で音は完成してます。
Rockman (Ultimatum)+パワーアンプシミュ
がちゃんと成り立っており、アンプのインプットでもラインでも迫力のあるサウンドが出ます。
GrokはA12-50の方が太い音で本格的な音が出ると主張してましたが、挙げた動画を聴く限りでもUDGの方が音が太く柔らかく、正にアンプサウンドという感じで意義を唱えたいですね😡️
A12-50が93年、UDGが94年のリリースなので、その間に回路が大幅改善されていると思われます。
使用アーティスト
このA12-50やUDGに関しては、SR&D社がJim Dunlop社に売却される直前にリリースされたのであまり話題にならず、Scholz氏がラックに組んでいる、SustainorをUltimatum化させる為のお手製ユニット以外で使ってるアーティストはいません。
ただ話によればScholz氏とPihl氏はA12-50アンプを気に入っており(FacebookとGrokより)、Pihl氏がシリアル無しのプリプロダクト品にサインを書いたり、2人によって改造を施された個体があるそうです。
総評
2026年現在、オリジナルRockman製品自体がどれも貴重になって高値が付けられており、特にA12-50やUDGに関しては生産台数が少ないのとSR&D最後の発明という事もあり、輪を掛けてプレミア価格が付いてます。
しかしながら「Rockmanらしさ」を求める場合かなりベクトルがズレており、高価なのもあるので購入はオススメは出来ません😓️
正直現行のMXR Rockman X100の方が、皆が想像してるRockmanの音を奏でられます。
ただ独特のサウンドではありますので、もし見つけたら試奏されるのも面白いと思います。
